『iCloudやGoogleドライブって「クラウドストレージ」って言うんだよね?ふわふわしててよく分からないけど、なんか保存できるんだよね…?』クラウドストレージについて、こういったあやふやな理解の方も多いのではないでしょうか。IT用語をなんとなく理解することを目指すITなんとなく辞典、2回目の今回は「クラウドストレージ」について解説します。メリット・デメリットもしっかり紹介していきますよ。
クラウドって?
「クラウド」というワードを見たり聞いたりしたことは多いと思います。でも、クラウドってなんでしょう。空に浮かぶ雲?ゲームのキャラクター?…IT用語としての正解は、空に浮かぶ雲の方です。どこで何が行われているか想像がつきづらく、くものようにふわふわしているので、このように呼ばれています。
ちなみに「クラウドファンディング」のクラウドは、雲を意味するCloudではなく、Crowd(群衆などの意味)なので、また別物です。
今まで、ITサービスを提供するとなると、自社でインフラを構築することが多かったです。サーバーという業務用のハイパワーなコンピューターを何台も設置し、熱くならないようにクーラーをガンガンに効かせたりしていました。
しかし、「仮想化」という、実際の(物理的な)のコンピューター上に、何台もの仮想的なコンピューターがあるかのように扱える技術が開発されました。これを用いれば、1台のコンピューターでも、あたかも複数台のコンピューターのように扱えます。
レンタルサーバーなどは、この仮想化によって、サーバーをレンタルしています。何も契約分の台数コンピューターを用意しているわけではありません。
仮想化を用いて、ITサービスを提供しようとしている企業に、コンピューターの処理能力を貸し出す企業が現れました。現在、GoogleやAmazon、Microsoftなどといった企業がこぞってこのようなサービスを行っています。
クラウドを使えば、場合によってはサーバーを管理するコストを減らせるということで、最近注目されているのです。それ以外にも、例えば「利用者が急増して処理が追いつかなくなった」「休日は利用者が多いけど、平日は少ないからそこだけ処理能力を抑えてお金を節約したい」などという場合に、機動的にリソースを調整できるという利点もあります。
クラウドストレージって?
クラウドストレージ(オンラインストレージとも)は、クラウドでデータを保存できるスペースを提供するサービスです。いわば「インターネット上のデジタル貸し倉庫」のようなもの。”倉庫”の大きさは何段階かあり、iCloudでは50GB〜、Google Oneでは100GB〜、などとなっています。
単位のGB(ギガバイト、通称”ギガ”)の解説はこちら。
クラウドストレージのメリット・デメリット
メリット
クラウドストレージを使う利点はいくつかありますが、1番はデータを安全に保存できることでしょう。クラウドにデータを上げておけば、たとえ家が火事になろうとも、スマホが粉々に砕け散ってもデータを失うことがありません。
2番目のメリットは、画像の自動分別・解析です。
私はGoogle Oneを契約しているのですが、Googleフォトにアップロードした画像を、AIが自動で分析してくれます。これにより、画像に写っている人などを見分け、被写体を単語で検索できるようにしてくれます。「橋」と検索すれば、アップした画像から、橋の写った画像を表示してくれるのです。
また、撮影場所をマップ上に表示してくれたり、「何年前の今週」など、昔撮った画像をリマインドしてくれたりします。
さらにはパノラマ撮影機能などを使わずとも、写真の端が被った複数枚の画像をアップすると、パノラマ画像のように横長の画像を勝手に生成してくれる機能などもあります。
このように、単なる”貸し倉庫”としての機能だけではなく、ソフトウェアの解析によって思い出や記録を整理してくれるのは良いですよね。これだけでも十分契約する理由になるのではないでしょうか。
デメリット
デメリットは、やはり利用し続ける限り永遠に課金しなければならないことです。100GBなどなら、他のサブスクサービスと大差ありませんし、年額ならむしろ安いくらいですが、TB単位になってくるとかなりかかります。
また、例えば音楽のストリーミングサービスなら、定額のまま、聴ける曲は増えますよね。データを保存しておく必要はないため、保存場所に困ることもありません。
しかしクラウドストレージは、課金額を増やさなければ保存容量が増えることは無いのに、保存したいデータはどんどん増え続けます。
将来的に技術革新で値下げされる可能性はありますが、それまでは減り続ける残りのスペースとにらめっこすることになります。
クラウドストレージとPC/USBメモリとの違い
よく聞かれるのですが、例えば自分のPCやUSBメモリに保存するのとは堅牢性に雲泥の差があります。
USBメモリはあくまで、一時的なデータの持ち運びを想定したデバイスです。そのため、急にデータが飛んでしまってもおかしくありません。
次にPCですが、極端な話をすると、こちらは家が火事になったらもう戻ってきません(USBメモリもそうですが)。火事までいかなくとも、水がかかったりショートして故障したり、というリスクは常にありますよね。
対して、(まともな)クラウドストレージは何重にも安全対策が執られていますし、クラウドストレージ自体のバックアップもされています。同時多発的にデータセンターを爆破でもしない限り、データが消えることはまずありません。
5大クラウドストレージサービスの比較表
無料で使える容量 | 特徴 | 価格(月額) | 価格(年額) | |
Amazon Cloud Drive(Amazon Photos) | 5GB | Prime会員ならフォトストレージのみ劣化無しで容量無制限 | 100GB/250円、1TB/1,300円、2TB/2600円 | 100GB/2,490円、1TB/13,800円、2TB/27,800円、3TB/41,400円、4TB/55,200円、5TB/69,000円、6TB/82,800円、 7TB/96,600円、8TB/110,400円、9TB/124,200円、10TB/138,000円、20TB/276,000円、30TB/414,000円 |
Apple iCloud(iCloud+) | 5GB | iPhoneユーザーなら、アプリ含め端末をまるごとバックアップ可能 その他iCloud プライベートリレー (ベータ版)なども | 50GB/130円、200GB/400円、2TB/1300円 | (年額プラン無し) |
Dropbox | 2GB | Plus(1ユーザー)2TB/150円、Family(6ユーザーまで)2TB/2500円 | Plus(1ユーザー)2TB/14,400円、Family(6ユーザーまで)2TB/24,000円 日本での正規代理店であるソースネクストがPlusの3年版をAmazonなどで38,280円程度で販売している セール時はさらに安くなる(3万円ちょうど近くに) | |
Google Drive(Google One) | 15GB(Gmailなどと共有) | Google Oneメンバー向け特典が時々降ってくる | 100GB/250円、200GB/380円、2TB/1,300円、5TB/3,250円、 10TB/6,500円、20TB/13,000円、30TB/19,500円 | 100GB/2,500円、200GB/3,800円、2TB/1,3000円、5TB/3,2500円 (10TB以上の年額プランは無し) |
Microsoft OneDrive | 5GB | Microsoft 365 Personalなら、ストレージに加えてOfficeアプリが使える | 100GB/224円、Microsoft 365 Personal(OneDrive 1TB分付属)/1,284円 | 12,984円(Microsoft 365 Personal) 100GBの年額プランは無し |
これはAmazon、Apple、Dropbox、Google、Microsoftの5大クラウドストレージサービスの比較表です。
Google Driveは容量がGmailなどと共有ですが、無料枠が15GBと多めで、容量当たりのコスパも良好。有料のGoogle Oneに入れば、ときどきGoogle Playクレジット(残高)がもらえたり、メンバー向けに限定でGoogle Photoの機能が開放されたりする特典もあります。特にAndroidユーザーにおすすめです(iPhoneからでも利用可能)。
iCloudは、iPhoneユーザーならアプリデータも含めてフルバックアップができるのが長所です。また、Google Driveと同じように追加機能(iCloudプライベートリレーなど)も使えるようになります。
Amazonは、Amazon Prime会員ならフォトストレージのみ、追加料金無しで無制限に保存できます。また1TB以上の有料プランの段階が、1TBごとと細かいため、将来的に容量を増やす際にムダなく選べますね。
Microsoftは、12,984円のMicrosoft 365 Personalに1TBのOneDriveストレージが付いてきます(あくまでもOfficeがメインのプラン)。WordやExcelといったOfficeソフトを使う人におすすめです。
DropBoxはこれといった特徴がないですが、定番のサービスです。長期間使うつもりなら、ソースネクストが販売している3年版が割安ですよ。
クラウドストレージで思い出を保護しよう
クラウドストレージについて、少しは分かっていただけたでしょうか。クラウドストレージの安全性は、PCやUSBメモリより格段に上です。安心安全に保存できる以外にも、付加価値を付けて提供されているサービスもあるので、そういった点も調べてみるといいですね。